氷川稲荷神社(練馬区大泉町)
氷川稲荷神社は大泉氷川神社の境内にある稲荷神社。かつて橋戸村を知行していた伊賀者から信仰を集めた。もとは近くの愛宕神社にあったという。ここには伊賀者が嘉永2年(1849)に奉納した御手洗石と石鳥居(破損しているものの境内に残る)があり、由緒と伊賀衆108名の名前が刻まれる。現在は練馬区によって有形文化財に指定されており、氷川神社の境内にはその標示が立っている。
そもそも橋戸村は服部半蔵配下の伊賀者に与えられた7ヶ村に入っておらず、服部半蔵が知行した土地であった(服部正就が知行していたことを示す文書が存在する)。服部正就が伊賀者の頭を罷免された後、何かしらの由縁で伊賀者が直接支配することになったと考えられる。伊賀者は初め、服部半蔵正成と服部仲保次のどちらかに配属されたが、この地を支配したのは元服部半蔵の配下だった伊賀者であった。実際に伊賀者の家々の由緒書を調べてみても、氷川稲荷神社に寄進した伊賀衆108名が、かつて服部半蔵正成の下に配属された伊賀者たちであったことを確認することができる。