忍びの館   >  忍術秘伝書

万川集海

正忍記

忍秘伝

正忍記しょうにんき
正忍記とは

 著者は紀州の軍学者で、新楠流(名取流)軍学創始者の名取三十郎正澄(藤一水子正武、藤林正武)である。正忍記は「せいにんき」と訓むこともある。全3巻の構成で、忍者の携帯必需品「忍び六具」や潜入に適した7種の変装「七放出」などは、正忍記が根拠になっている。紀州流の忍術書と言われるが、あくまで新楠流軍学の中の一項目としての忍術であり、紀州流といった忍術が存在するわけではない。万川集海、忍秘伝と合わせて、三大忍術伝書に数えられる。

 有名な国立国会図書館本は延宝9年(1681)に書かれたもので、寛保3年(1743)2月に正澄の長男・名取平左衛門が弟子の渡辺六郎左衛門に授けた写本である。少ないが、個人蔵の写本も存在する。
写本と所蔵者(個人蔵を除く)

 国立国会図書館本はマイクロフィルム化されており、誰でも閲覧することができる。他に伊賀流忍者博物館藤田文庫にも所蔵される(国会図書館本の写しか)が、公開されていない。

  目録
題 名 内   容

まえがき。勝田何求斎養真という紀州藩士が書いている。

当流正忍記

忍術の歴史

忍兵の品

五間の品について

正忍記一流の次第

忍びの師弟問答、体験談を語る

当流正忍記伝法

本書目録

初巻

忍ぶ出立ちの習い

忍び六具、七方出、鬼一法眼の伝え、古法十忍の習い

知らぬ山路の習い

山中で道に迷ったときの対処法

夜道の事

夜道を進むときの注意点

禁宿取り入る習い

その家の人と仲良くなり、いろいろ聞き出したりする方法

狐狼の習い

関所を避けるときは、脇道を利用したり、変装したりする

牛馬のつたえの事

使者になって、敵方に行く。又、敵方に残る時は寝返りと思わせる

宮寺計聞の習い

その国の事を知りたければ、そこの神社や寺に寄進し、話を聞く

変化の論

仮病、服装をかえる、顔を変える 等して、別人に思わせる

陣中忍ぶ時の習い

敵陣に進入するとき、隠れる時、発見された時等の方法

水鳥の教え

内心忙しくとも、見た目静かでなくてはならない。又堀等の越え方

忍び入る時分の事

忍び入るに適する時間、眠りのこと

四足の習い

犬を静まらせる方法

二人忍びの事

一人はおとりになり、もう一人はその隙に忍び込む

三人忍びの事

「二人忍びの事」と似ている

中巻

天動地動の習い

自分の行く反対の方に人の目を引く不自然な物を置いたり・・・

高越え下きに入るの習い

忍器(登器)の使用法など

忍びに色を替えると云う習い

目的を達成するのにも、発想の転換が必要である

敵防ぎと云う習い

命・道徳などはどうでもいいが、自分を失ってはならない。

代人狙われざる秘法の守り

護符と毒薬

木陰の大事

隠れる時は不自然でない所が良い。女には気を許すしてはならない。

事を紛らかすの習い

逃走の成功を図る

人に理を尽くさす習いの事

他人を上げ、自分は愚を演じる 

人相を知る事

面相で人を観察する

怱体に三停ある事

顔や体の特徴で人を占う

下巻

極秘伝

忍術を極めるための心構え

無門の一関

人の秘密を聞き出す方法

人を破らざるの習い

相手を論破してはいけない、それで関係が終わってしまう。

心相の事

人相ならぬ”心”相を見定める。心相には7つある

道理と利口と知るべき事

道理(真理)で物事を察し、利口(方便)で相手を騙す

心の納め理に当たる事

気弱ではいけない

無計弁舌

計画を熟考するよりも、その場に臨んで機転を利かせるのが良い

離術法

先入観を捨て、正しい心を持ち、身心を固めるべし

奥書

本書正忍記は当流忍びの蘊奥である


関連書籍

書名 著者 出版社 定価 備考
正忍記 藤一水子正武 20000円 国立公文書館本の複製復刻版、甲賀流忍術屋敷や伊賀流忍者博物館で販売されている
忍術伝書 正忍記 藤一水子正武、
訳・解説:中島篤巳
新人物往来社 7767円 書き下しと解説、後半に原文の複写を収載
OD版 忍術伝書 正忍記 藤一水子正武、
訳・解説:中島篤巳
新人物往来社 18000円 ↑のOD(オンデマンド印刷)版
正忍記 甦った忍術伝書 木村山治郎 紀尾井書房 1100円 現代語訳版
現代文 藤正武・正忍記 訳:森銑三 日新書院 1円30銭 現代語訳版(但し戦前の本なので文語体)
日本武道体系 第九巻 文:奥瀬平七郎 同朋舎   「武道随筆」の中に正忍記の項があり、全文の書き下しを所載
宮本武蔵の生涯 森銑三 三樹書房 780円 後半に『現代文 藤正武・正忍記』の現代語訳と昭和14年12月『科学ペン』所収の正忍記紹介の一篇を所載している

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